マティス展開催中

matisse0.jpg
〜12月12日。 国立西洋美術館
http://event.yomiuri.co.jp/matisse/

マン・レイ展に引き続き、ライターの常葉隆義さんが観覧の感想を書いてくれたので転載します。

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「マティスの装飾性」 text 常葉隆義
 アンリ・マティス(1869~1954)の展覧会が国立西洋美術館で開催されている。私もさっそく行ってみた。期待していたよりも地味目な展覧会だったが、それでもけっこう楽しめる。今回のテーマは創作の「プロセスとヴァリエイション」ということで、例えば『夢』という絵が出来上がるまでの、デッサンから完成に至る写真が展示されてあったり、ひとつのモティーフの様々な変奏が見られるようにと、いろいろと工夫が凝らされている。特に『ジャズ』の連作がとても楽しかった。とはいえ、そちらは学芸員の方の説明にまかせておいて、個人的感想に入ろう。
matissereve.jpgmatissejazz1.jpg「夢」と「ジャズ」
 私の眼目はマティスの「装飾性」ということだ。マティスの絵を見ていると自然と楽しくなってくる。それは彼が自分の絵に装飾あるいは模様をふんだんに取り入れ、また絵画自体もひとつの装飾のようなものになっているからだと思う。そうすることによって見る者を軽い自由な気分にさせるのだ。それは今回展示されていた絵では『模様のある背景の装飾的人体』、『赤い室内、青いテーブルの上の静物』、『エトルリアの壺のある室内』などからよく見て取れるし、彼が「はさみでデッサンする」と言っている切り紙絵では、よりいっそう装飾性が増して来るのが分かる。
matissemoyou.jpg「模様のある背景の装飾的人体」
 「(絵画の)コンポジションは、画家が自分の感情を表現するために自由に扱うさまざまな要素を装飾的なやり方でアレンジする術である」とマティスは語っているが、彼にとって装飾は造形手段の根本なのである。宮川淳(文筆家、美術評論家、1933~1977)も言うようにマティスが装飾的モティーフを使うのは、三次元の現実の多様性、異質性を同質化して、二次元の純粋な絵画空間をつくるためである。
 何故そのようなことをするかといえば、マティスの次のような芸術に対する姿勢が参考になるだろう。「芸術はつねに純粋で静かなものであり、魂をしずめるものでなければならぬ。私は作品が春のような軽さと悦びとを湛えて、そのために費やされた労苦の跡をとどめないようにとねがっている 」というものである。
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マティス展もピカソ展も行けない人に朗報です。
作品はもちろん、2人の関係や歩み、生前の2人のビデオまで惜しみなく見せてくれてます↓
http://www.matissepicasso.org/
ますます原画を見たくなるでしょうが。

行かれたbloggerの方、感想をtrackbackいただけるとうれしいです。

Posted by 7NT-RDBL at 2004/10/ 1(ven) 07:02 PM [美術・デザイン ] | Hatenaブックマークに追加 |

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title: マティス展で「プロセス」を楽しむ
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posted by: takemag remix
2004/10/ 1(ven) 07:40 PM
title: マティス展(1)眠る女
これは本当にお得な企画展。これだけの作品を並べて見ることができるなんて信じられません。そしてマティスの作品への真摯な姿勢も見ることができましたね。
posted by: SAISON de LYCEE(セゾン・ド・リセ)
2004/10/ 1(ven) 08:44 PM
title: マティス展(2)マティスブルー
マティスと言えば「鮮やかな色彩」・・・の絵が多いように思うが、今回特に気になったのは「マティス・ブルー」ともいえるやわらかな青色。 「ブルー・ヌード」(1952年) ポンピドゥーセンター・国立近代美術館 この絵のポーズ。その原型とも思われるのはこちら。
posted by: SAISON de LYCEE(セゾン・ド・リセ)
2004/10/ 1(ven) 08:48 PM
title: マティス展、たのしみ♪
Tomotubbyはマティスの絵が大好きなので、東京のブリヂストン美術館、茨城の笠間美術館、京都の近代美術館、岡山の大原美術館、鹿児島の岩崎美術館など国内で名作が見られる美術館はあらかた詣でました。 最近、国内でピカソやゴッホの大規模な展覧会が頻繁にあるのに対し...
posted by: Tomotubby’s Travel Blog
2004/10/ 2(sam) 08:39 PM
title: マティス展
国立西洋美術館で行われている 「マティス展」に行ってきた。 目的は切り絵シリーズのジャズの原画を見ること。...
posted by: af_blog
2004/10/ 4(lun) 02:54 PM
title: これぞ、マチスなマチス展
マチス展。この秋の東京で、終わってしまった<RINPA展>と人気を 二分してる様子。 展示内容は、ほんと、マチス好きを裏切らない構成だったと思います。 しかも、12月12日まで、会期はたっぷり☆何回でも訪れたいイイ展覧会☆ まずは、いかにもマチスな装飾性と...
posted by: Art with You & rossa-blog
2004/10/ 6(mer) 08:25 PM
title: 「マティス」展
上野国立西洋美術館で開催中の「マティス」展に行って来ました。(25日)
posted by: 弐代目・青い日記帳
2004/10/ 8(ven) 05:50 PM
title: 赤,赤,赤!〜マティス展を鑑賞して
○ 色彩のダンス  マティスの作品は,赤,青,白,黄,黒,緑と様々な色彩(いろ)がダンスをしている。その中でも,最も魅惑的なのは独特の「赤」色である。一言で「赤」といっても,様々な色合いがある。現在,国立西洋美術館で開かれている「マティス展」には,ポン...
posted by: vagabond の 徒然なるままに
2004/10/10(dim) 09:15 PM
title: 「マティス」展
上野国立西洋美術館で開催中の「マティス」展に行って来ました。(25日)
posted by: 弐代目・青い日記帳
2004/10/11(lun) 02:16 PM
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国立西洋美術館にて、「マティス展」を観てきた。 マティスの作品は同一主題のヴァリエーションが特徴的である。 そこに流れるのは、幾つもの「変奏」。 パリの『ノートル=ダム』の表情は、七変化どころではない。 『ジョルジュ・ベッソン』は、明治時代の日本...
posted by: ◇◆Essayという試み◆◇
2004/10/12(mar) 02:34 PM
title: ART: マティス展
マティス展 Henri Matisse: Process / Variation
posted by: Pocket Warmer
2004/10/15(ven) 08:15 PM
title: マティスの「ルーマニアのブラウス」が秋田にあった!!
一番好きなマティスの作品はどれですか?と聞かれたら、Tomotubby は迷わず、パリ4区のポンピドゥーセンター・国立近代美術館に常設展示されている「ルーマニアのブラウス」と答えます。どんな絵かというと、下のような絵です。 パリの「ルーマニアのブラウス」 マテ...
posted by: Tomotubby’s Travel Blog
2004/10/20(mer) 12:19 AM
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Henri Matisse 1940年《夢》個人蔵 ずっと気になっていたマティス展に、やっときのう家族で行ってきました。 正確には家族と息子の友人一人。あいにくの雨にもかかわらず、マティス展は大勢の人でした。 絵が好きでよく画集を見ていた私ですが、...
posted by: 食卓から愛を込めて++Dinning++
2004/10/31(dim) 01:58 PM
title: マティス展 国立西洋美術館
先日、マティス展に行ってきた。「マティスとは?」どんな絵画を描いていたか知らなかったけどパンフレットを見たら「あ〜、この人か」と言うぐらいの知識で見てきた。入り口の解説を読むと「プロセス(過程)」「バリエーション(変奏)」という2つ視点から楽しむようにと
posted by: ふたり暮らし
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2004/11/13(sam) 08:18 PM
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posted by: 唯    識
2004/12/12(dim) 12:48 AM
title: 12/12日 「マティス展」最終日に再訪
12月12日、「マティス展」の開催最終日に再度上野西洋美術館に行って観てきました。前日は入館するのに30分待ちだったと聞いていたので、閉館2時間前の16時半に間に合うように入館しました。予想に反して待ち時間は無いに等しく、即入場できました。でも会場に入ると凄い...
posted by: Tomotubby’s Travel Blog
2004/12/14(mar) 06:01 PM
title: 国立西洋美術館
世界的な芸術家の作品や松方コレクションに触れることができます。国立西洋美術館には常設展として15世紀†20世紀の絵画が展示されており、特にロダン (地獄の門 、考える人 、カレーの市民など)、モネ (睡蓮、舟遊び)のコレクションが豊富です。
posted by: Goods-One.net
2004/12/22(mer) 02:11 AM
コメント

こんばんは。
マティス展、のTBさせていただきました。
よろしくお願いします。

posted by: Lyceeさん
2004/10/ 1(ven) 08:50 PM

はじめまして。
TBありがとうございました。
私のブログからは何度試行してもTBが無効になってしまって、トラックバックできずにスミマセン。
また、お邪魔します。

posted by: epokheさん
2004/10/12(mar) 02:38 PM

こんにちは、TBさせていただきました。
やはり、マチスの色彩美は,色あせる所か、時代を追って益々鮮明にうつってきますね。

posted by: soleilさん
2004/10/31(dim) 02:12 PM

はじめまして。
以前「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の記事にTBいただきました、hakomono0927と申します。マティス展の記事中でリンクを貼りましたので、TBさせていただきました。

posted by: hakomono0927さん
2004/12/ 9(jeu) 08:14 PM

カフェドランブルの記事にトラックバックして頂きましたPIX:BOXのpisaです
私もマティス展に行きましたので、トラックバックさせて頂きました。
よろしくお願い致します

posted by: pisaさん
2004/12/10(ven) 08:26 PM
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