--- |
10月20日(金) こっちで外国人がちゃんと働くには、勤め先と交わした契約書とビザを持って労働なんとか局に届けを出さなくてはならないのですが、私ったらその場所が書いてある書類をどうやら日本に忘れてきたらしいっす。これではせっかく雇って貰っても働くことが出来ないので給料はゼロでありますし、その後就職が決まったとしてもも同じく働くことができねえ。それじゃあ何の為にフランスに来たのか分からん。やばいっすよまじでやばいっすよ(出川口調)。まあ頭の中で困っていてもしょうがないので、とりあえず会社の人からうろ覚えの最寄り駅を聞き出し、その駅周辺でそれらしい施設に順番に入ってみることにしました。公的機関は国旗が入り口に掲げられているので、文字を読むのに不自由な方でも簡単に見つけることが出来ます。ほんとうにありがたいものです。 しかし最初に入ってみたところは警察でした。みんな制服着てるので建物に入る前に気づくべきでした、悪いことしてないのに萎縮してしまいました、とほほ。とぼとぼ歩いて次に飛び込んでみたところは「なんとかかんとか homme d'employe」という建物。よく分かりませんが「employe(雇用者)」という単語が入っているからここに間違いないでしょう。入り口のおじさんに伺うと「確かにここだと思うよ。並んで順番を待っていなさい」とのこと。ああよかったなあ、なんとかなるもんだなあ。 けれどもやっぱり、窓口の人とさっぱり話がかみ合わない。「シテ島に裁判所があるから、そこに行って話してこい」とよく分からないアドバイスを受けるばっかり。いったい何なんだろう?ただ働きたいだけなのになあ。一生懸命こっちの事情を説明すると、窓口の人はうんざりした面持ちで「なんとかかんとか」というのは「共済会」という意味の単語だということを説明して下さりました。つまりまったく関係ないちゅうことですわ。関係ない施設の行列に40分も並んで史まったっちゅう訳ですわ。自分のあまりの間抜けさにため息がでますわ。もう疲れて疲れてしょうがないですわ。今日のところはこれくらいにしといたるわ。 んが、帰宅後なんとなく「地球の暮らし方」読んでいたら、労働の章にちゃんと届け先の住所と名称がのっているではないですか。最初からこれ読んでいたら迷わずにすぐ書類提出出来ていたはずなのに・・・ 自分の馬鹿さに疲れてきました。 10月19日(木) フランスに着いてとうとう一ヶ月が経ちました。非常に長く、しかしあっという間の一ヶ月でした。テンションが上がったり下がったり、体調が良かったり悪かったり、日の入りが8時すぎだったり6時30分になったり、気温が25度だったり11度だったり、と毎日毎日自分の環境も周りの環境も目まぐるしく変化し未だに自分のペースを確保できておりません。しかしまあなんとかなっている方だと思います。残りの11ヶ月はきっともっと早くなるのでしょうねえ。 そんでもって、この1ヶ月自分なりに節約していたので(日本と同じように生活していただけだが)自分で自分を誉めてあげようと思い、マドレーヌにあるFAUCHON本店に行ってみました。FAUCHONはやっぱりこっちでも高級店なんですが、やっぱり日本より全然安いし品揃えも豊富。マスタードだけでも10数種類ありますし、ジャムなんて何十種類もあります。そんな中で秋を感じさせる「マロンクリーム(粒入り)」の手のひらサイズの小さい瓶(9フラン)を自分のご褒美に購入。これがんもう!流石一流店!微量に摂取するだけで栗の香りが口の中で広がり甘美な幻想が目の前に繰り広げられてしまうのです。ヤバイきのこでも入っているのかと疑ってしまうほど罪な仕上がり。単品舐めるのも、パンに塗るも、クレープに使うも、なんでも有りのロマン溢れるマロンです。 こっちのスーパーではゼリー類があまり売られておらず、その代わりに多種多様なヨーグルトやムースが幅を利かせているのですが、一人分のサイズが大きいこと大きいこと。どんなに美味しいチョコムースでも、1カップが日本の二人分強ありますので、チョコ好きでも空腹でも必ず胃がもたれてしまいます。そんなときにこのマロンクリーム。飽きて食べきれなくなったチョコムースにちょこっとこのクリームを乗せるだけで、更に美味しい「チョコ&マロンムース」になるのです。まったく別(ではないが)のお菓子に変身するのです。チョコムースでは胃がもたれても、「チョコ&マロンムース」の入る胃はまた別にあるので、もう胃もたれの心配をしなくてよくなったのです。胃のことを気にしなくても良くなったし、デザートが2種類に増えたし、全く最高な気分であります。 10月18日(水) 「空港で観光客さんをお出迎えしてホテルまでお送りするバイト」の面接に行って参りました。いわゆるトランスファーというやつです。このお出迎え業界は、以前は多くのベテランの方々が取り仕切っていて、あんまり語学のできない私のような新参者には敷居が高いところだったのですが、昨年頃からこの業界において大幅な賃金値下げがあり、そのため高級取りであったベテランの方々は早々とこの業界から足を洗い失業保険生活(フランスは失業保険が充実しすぎているので、失業率が下がらないという社会問題がある)に突入してしまった、とのこと。そのため大量な人員不足なようです。とにかく猫の手でも借りたい状態みたいです。話だけでも聞いてみようかと電話をしてみたら、いきなり「事務所に来てください」とのこと。 とにかくとにかく人手が足りないらしく、ろくなスキルチェックもされずに早々と契約の話に。猫よりは日本語が上手だったからでしょうか?「学校優先でかまわない。始業前や放課後の空いている時間でシフトを組みましょう」とマクドナルドのバイトのような仕事の振り方。シフトを見ると「シャルル・ド・ゴール朝5時に○名お出迎え」とか「朝7時30分に○○ホテルに○名お出迎え」など、見ただけで貧血を起こしそうな仕事。今更「朝が弱い」とか「前の会社では毎日1時間遅刻していた」とは言えず、「はぁ、はぁ」と頷くのみ。うひゃあ、困ったなあ。面白そうな仕事ではあるのですが、辛さの方が勝りそうです。とりあえず契約して研修だけは受けてみようかと思ったりします。 10月17日(火) 学校のイベント「degustation de vins」に参加。ワインの試飲会であります。マレ地区にあるワイン屋さんで美味しいワインが4種類飲め、軽食を食べることが出来、そしてワインの楽しみ方やワインを表現する言葉を沢山教えて頂ける上にお値段なんと90フラン、という素晴らしい会であります。この日参加したのは10人強、日本人は私だけでした。もっと沢山の日本の酒好きが参加すると思っていたので拍子抜け。そして私以外の参加者たちがたちまちのうちに仲良くうち解け、お友達になっていくのを見つめているとなんだか淋しくなってきます。頑張ってはいるつもりなのですが・・・しょぼん。 さて、学校からみんなで列を作ってワイン屋さんに向かうと、すでにできあがったおっさんがお出迎えをしてくれました。酔っぱらいとはいえ、口調はしっかりとしていて、話題がワインになると、目がしっかりとしてきます。今回飲むワインは白→白→赤→赤の順番。それぞれの味や香りの違いを理解しましょう!と店主が先生のように説明してくださいます。振る舞われたワインをまず、 1 ワイングラスの中でぐるぐると回し 2 そしてそこから立ち上っている香りを嗅ぎ 3 その香りを描写し(ワインを形容する語彙リストが配られましたが難しい単語や食べたことのない食べ物の単語ばかり) 4 それから飲む という日本の居酒屋でやると、後ろから確実に蹴りを入れられそうな気取った飲み方で飲んでみました。うん、やっぱりそれぞれのワインには違った香りがあるものですねえ。同じ白でもフルーティーな香りのものと、熟成された大人の香りのものとが有りますし、赤は本当に全く違う香りがします。そして、 5 飲んでみて感想を言い(これも語彙が足りない私にはつらい) 6 今度はおつまみを食べてからワインを飲むと 7 ワインの更なるおいしさが引き立つ とのこと。白ワインにはさっぱりしたシェーブル。赤ワインにはこってりしたカマンベール。それぞれ、ワインを引き立たせるおつまみがどんどんでてきます。今までシェーブルは生臭くて苦手だったのですが、白ワインと一緒に飲むとその生臭さがおいしさに変身するのですね。白ワインもそんなに得意ではなかったのですが、シェーブルのようなフレッシュなおつまみと一緒に飲むと、その爽やかさの虜になりますのね。あんまり美味しいので沢山おかわりしてしまいました。もしかしたらフランスに来て今が一番幸せかもしれない。そんな気分になってしまうくらい死ぬほど飲みましたが、美味しいお酒は悪酔いしないし二日酔いにもならないし、いいことだらけであります。 帰りは引率の先生と駅が同じだったため、途中まで一緒に帰りました。沢山お話してしまった。しらふでも沢山喋れるようになりたいものです。 10月16日(月) 今のホテルは、マダムの口利きで無理矢理入り込んだところのため、空いている部屋を転々とする状態であります。今日で4回目の部屋替え。私が学校に行っている間にホテルの人が荷物を運んでくださるため、私はそんなに疲れないのでまあよいのですが、毎日のように「いるもの」と「いらないもの」を段ボールで仕分けする作業にはいい加減飽きて参りました。小須田部長は偉いですね。 しかし今回はちょっと一大事。ホテルのタンス内に干して置いた洗濯物をスーツケースに入れとくのを忘れてしまい、学校から帰ってきて新しい部屋に到着したときには、洗濯物消失=靴下&下着ゼロという非常事態。ふつうタンスの中くらいチェックすると思うんだけどなあ・・・さあ困った。明日からどうする? フロントに行くと「靴下なんて知らないよ。あなたの荷物は全部運んだよ。前の部屋にはお客さんがチェックインしちゃってるからもう入れないよ」なんて言われて追い返されてしまいます。しつこく食い下がると「掃除の係はもう帰っちゃったんだよねえ、明日の朝また来てよ」とのこと。風呂から出た後に同じ下着を着るという行為は、日本の法律には明記されておりませんが、なんだかとっても背徳の香りがします。出来れば避けたいものです。なんとかなりませんかねえ? 20分くらいこの緊急事態を一生懸命説明した頃でしょうか、フロントの人が「あ!そういえば忘れ物コーナーに濡れた洗濯物が沢山あったような気がする」といきなり一番大切なことを思い出しやがりました。そうなんだよ、それなんだよ。なんとかかんとか洗濯物を救い出すことが出来ましたが、ビニール袋に詰め込まれた濡れた洗濯物からはほのかに異臭が漂っています。また洗濯のし直しです。いい加減に落ち着きたいものです。 10月15日(日) 午前中はたっぷり睡眠を取り、午後からポンピドゥーセンターへ。只今「Les bons genies de la vie domestique」という(genie という単語はもともとは精霊という意味で、人間に対しては「天才」、学問に対しては「工学」という意味で使うみたいだ。bon genieで「守り神」という使い方をするから多分かけことばなんでしょう、よく分からんが)工業デザイン100年史な展覧会が開かれております。冷蔵庫が、扇風機が、アイロンが、掃除機が、ありとあらゆる電化製品が、その時代時代の美しさを誇っております。日本の地方博物館や民芸館でよくありがちな「古い道具を見ることで、昔の人々の生活を想像してみましょう」な押しつけ教育的な展示でなく、ただその形の美しさをフューチャリングしております。機械を作る人々の「どうせなら美しい形で」という気持ちは、今も昔も機能差はあれどかわらないものなのですよね。昔のポスターのかわいらしさには目を細めてしまいます。最先端デザインの中にiBookと一緒にアイボがあったのに驚き。やっぱアイボって凄いんだなあ、どこが凄いのかよく分かりません。実物いじったら徹子のようにハマってしまうのでしょうか? 久々に訪れた常設展は特に現代美術の展示が大幅に変わっていてなかなかオモシロ。残念ながら作品はありませんでしたがアイリーン・グレイの自作の自宅設計図を見ることが出来ました。戦前に日本の漆に目覚め、なぜか当時イギリスにいた日本の漆職人さんに漆の塗り方を習い、漆+アール・デコという誰にも真似できない独特の家具を作っていたという、なかなか面白い女の人です。現存する作品が少ないのか、コレクターが抱えているのか、どっちなんだか分からないのですが名前だけ有名な方なので設計図だけでも見ることができてなかなか幸せであります。 久々にイヴ・クラインの大きな作品も目にすることができて更に幸せ。一日中いてもよいくらいっす。 10月14日(土) 日本食パーティに呼ばれたのですが、今のところ私がもっている日本な食べ物は無印良品の「かりかり梅」一袋のみ。これじゃあんまり喜ばれないよなあ・・・ とマダムに相談してみたところ、マダムは余ったカップヌードルを気前よく3つも下さったばかりか、おいなりさん(紅生姜付き)とクレソンでおひたしを作って下さりました。ああ、なんという優しさでありましょう、涙が出そうであります。 伺った先はワーキングホリデービザで既に9ヶ月滞在しているという、WHベテランさん宅。彼女は編み物が得意で、現在はデザイナーさんから注文を受けデザイン画どおりにニットを編み上げて納品する、という広瀬先生もびっくりな仕事をされています。お会いしたときの服は上も(かわいいカーディガン)下も(素敵なパンツ)手作りだそう。パリで一番安いマルシェの近くにあるアパートには生活の知恵がいっぱい詰まっており、全てにおいて憧れてしまう方です。いろいろタメになるお話を伺いながら日本食を食べる、という至福のひととき。私も手に職を持っていたらなあ。 んで、その後みんなでボン・マルシェへ。ボン・マルシェは多種多様な毛糸を扱うデパートととしてパリで名を知られており(要するに何でもあるということだ)、先輩さんの工房では「自分で持ち込んだ毛糸+若干の手間賃」で希望したとおりのセーターやらマフラーを作ってくださるそうなのです。こりゃいいや、パリの寒さはセーターやマフラーは何枚あっても足りないくらいの厳しさであります。素敵な手編みのセーター欲しいっす、お気に入りのセーター欲しいっす、頑張って毛糸探すっす、と思って売り場をさまよったのですが余りの種類の多さに目移りしてしまい、毛糸を決めることができませんでした。後日また来て毛糸を買わねば。 そんでそのままみんなで昨日のオタクフランセの家に。実は昨日「夕方から日本好きの友達とパーティーをやるから来い」と呼ばれていたのです。パリに来てまだ二週間の彼のステューディオは広くて安くていい感じ。壁には「るろうに剣心」のポスターと松本零士のポスターとかとうれいこの水着のポスターなどなど日本のポスターだらけ。そしてアクセントとしてでしょうか、部屋の真ん中においてあるベッドには「精」という漢字が至る所にプリントされた、まさに地方から来て間もない独身男性のためのベッドカバーが被せられております。実はこのベッドカバー、パリ地下鉄内の広告で盛んに宣伝されており「誰が買うんじゃ?」と不思議に思っていたのです。まさかこんな所で出会えるとは・・・・ 「精」という字を〜 辞書で引いたぞ〜 精神、精進、精錬、無精、などが出てきましたぞ〜 「精」という漢字自体には罪はないんでしょうが布団の上にあるとなんだかとってもエロティック。難しい漢字だからまだ習ってないんでしょうねえ。念のためにさりげなくベッドにチェック入れときましたがパリパリした部分はありませんでした。そんな素敵なお部屋の家賃は月々なんとなんと2800フラン。日本人だったら多分3600フランくらい出さないと借りることが出来ないお部屋です。いや、私が騙されそうになった部屋はここより狭くて設備悪くて4000フランだったもの、なんかなあ、うらやましいなあ。 んで、オタクの友達だからオタクというわけではなかったようです。彼以外はみんな普通な日本好きの人々。私が持ってきたナンバーガールのCDを見て「これ知ってる」と言ってくれた人がいました。おお、なんと、フランスにまでその名は轟いているのね!!! しかし彼は「あ、でもこれは僕には強すぎてダメだった」と、、やはりユーロビートの国には五月蠅いのは受け入れられないのでしょうか。そしてオタク君以外はみんなピチカートやコーネリアスを好きなんだそう。なんだか話が合うねえ、よし、じゃあピチカートかけようよ、私CD持ってきたよ。とは言うものの、ここはオタク家、オタク氏がルールでありDJもオタクなのです。よって三連奏CDステレオの中身はSPEEDと宇ヒと何故かMY LITTLE LOVERになってしまいます。なんだかHITSHOPの中で携帯電話を見ている気分です。そういえばまだ日本にはHITSHOPはあるのでしょうか? そんな中パーティーに来ていたオタクの友達の中に、スーパーグラスやペイブメントが好きなMUJI(無印良品)で働くこじゃれ系の日本好きがおりました。ようし、ちょっと訊いてみよう。彼がおすすめのフランスの人々は Papas Fritas とDivine Comedy だそう。Papasは日本ではトラットリアから出ているそうなんです。ようし、要チェキや。「マイブラみたいなうるさいのはフランスでは見かけないなあ」とのこと。うーん、残念ねえ。レコ屋さんに行って、これらを視聴して(フランスでは店に売っている全部のCDを視聴することができる)、雑誌もこれらの名前が書かれているのをチェックして、ってな感じでやっていけばいいんですよね。よし、明日からやってみよう。 宴もたけなわ、ピチカート大好きっ子のドリアン助川のそっくりさんが、さりげなくデッキの中身を入れ替えるのですが、DJオタクはすぐにピチカートを止めてしまいます。ナンバーガールも「SCHOOL GIRL BYE BYE」を入れてみたんですが、「OMOIDE IN MY HEAD」の途中でオタクに曲を止められてしまいました。オタク以外みんな聞きたがっていたのに、趣味が悪いっすよう、ぷんすかぷん。とはいうもののDJオタクが掛けた「GET WILD(アルバムはシティ・ハンターOP ED曲集より)」で合唱してもうたよ。ちょっと恥ずかしいのう。 10月13日(金) 友人が、JUNKUで発見した「日本人の友達募集 by フランス人」というアノンスの主に連絡を取ってみたところ「是非会いたい」という返事。授業以外でフランス語を話す機会は今のところ余りないし、多い方が楽しいしということで、同伴させていただくことに。やってきたのは21歳の日本語学科で学ぶ男子学生。アヴィニョンの大学で2年学び、この秋からパリの大学に移って勉強しているそうな(どうやらフランスの大学は転校ができるらしい)。日本語を学び初めて2年しか経っていないというのに、彼は既に日本語ぺらぺらで漢字も100字ほど書けるとのこと。好きこそものの上手なれという諺の通りの方です、下手の横好きという諺の通りの私には眩しすぎる人です。んで、やっぱりオタな人でした。 初めにお話したカフェではそんな素振り見せなかったのに、彼のおすすめ日本食レストランでビールを飲んだ途端、彼はオタ全開。日本に興味を持った直接のきっかけが、子供の頃テレビでやっていた「キャプテン翼」だそうで、昨年暮れに初来日したときは、まんだらけに買い物にいったそうで、アニソンたくさん歌えるそうで、SPEEDと宇多田ヒカルが大好きだそうで、まさしくオタクフランセ。アラレちゃんの歌やキャプテン翼の歌、なぜか「モーターマン」、「Automatic」、頼んでもないのに勝手に歌ってます。しかし「あなたはオタクな人ですね。」と言うと「NON!NON!NOOOON!」と烈火のごとく怒り出します。どうやらこっちではもうオタクは差別語として定着しているみたい。「アナタノホウガオタクデス」と言われてしまいました。話合わせてやっただけなのにオタク呼ばわりしないでいただきたい。本職のオタクの方々に対して大変失礼でありますよ。「日本のヤクザに憧れている。将来はヤクザになりたい。」との、何とも困った夢も持っていらっしゃいます。日本好きというのはこういう人達ばっかりなんでしょうかねえ。複雑な気分であります。 10月12日(木) ついにとうとうようやくやっと、我が安ホテルにも暖房が入ることになりました。ふう、死ぬかと思いました。今まで極寒の中、靴下をはいてジャンパーを着ながら床についていたのですがこれからはそんな必要ないのです。洗濯物も早く乾くようになるでしょう。もう湿った靴下を何百回も振り回してから履く必要はないのです。セントラルヒーティング万歳!ってな今日この頃です。 語学の授業は、このごろいつもアラブのマダム(de サウジアラビア)を巡る話題で持ちきり。学校に入る前は他国の学生達に日本についていろいろ尋ねられると思って、「日本人が外国人から良く訪ねられる質問集」みたいなのを持ってきたのですが必要なかったみたいです。世界中どこにでも日本人がいるので他国の人々はそんなに日本に興味を示さないみたい、東洋の神秘っていう言葉は死語なんでしょうか。やっぱり、距離的に近いのに分からないことだらけのイスラムの国のことがみんな気になるようです。 始業前、床にチョークが落ちているのを発見したアラブのマダムは、うきうきとしながらチョークを拾い上げ、嬉々としながら、染色体みたいな文字を黒板いっぱいに書き始めました。もちろん我々には全く理解できません。ロシアから来た女の子が、「何を書いたの?」と尋ねると、アラブのマダムは「Mon Dieu!(私の神様)」と一言。拾ったチョークで一番最初に書いた言葉が神様とは、、、私も他の国の生徒達もその後の言葉を(母国語であっても)見つけることができません。そんでもって、やってきた先生がマダムの落書きを消そうとすると「それは私の神様だから消してはダメ!」と先生に向かって命令する始末。先生もデリケートな事柄なもんだから困ってしまってます。日本人は勿論、欧米人とも全く違う「神様」に対するスタンスの違いを実際に目の当たりにすると、やっぱりTVだけで得た知識で物事を知った気になっているのは間違っていたなあと思います。自分は「トゥナイト2」で得た知識だけで若者文化を知りつくした気になっているオヤジと変わりないってな気分に襲われてくるのです、山本カントクも北野誠も間違ったことを言っている訳ではないけれど、カメラのフレームの外にも面白いことはいっぱいあるわけです。何が言いたいのかさっぱり分からなくなってきたわけです。とにかく先生はマダムに丁寧にお断りを入れてから、ゆっくりと神様の文字を消しました。謎が多い国とマダムだなあ。 入居するアパートにCATVを引く承諾を得ることができました。わーい、これでネットつなぎ放題になってブチブチ切れるローミングにイライラする必要がないんだー わーい。 10月11日(水) 学校はだいぶ慣れてきましたが、やっぱり会話は難しい。先生とは意志の疎通が出来るようになってきたものの、異国のクラスメイトとお話するのに一苦労。先生は生徒一人一人の分からないところを把握しているから、生徒達が何を言いたいのかを間違った文法やカタコトの言葉でも理解できるけども、フランス語力が同じレベルの生徒同士だとなかなか会話を弾ませることができません。自分の知っている単語が相手が知らない時のこともあるし、その逆もあるし、国際交流とは難しいものだなあ。 授業の中で二人組になって会話文を考えるというコーナーがありまして、私はコロンビアの女の子と組になったのですが、彼女はフランス語ペラペーラなのに、動詞の活用(というか文法殆ど)を全く理解しておらず、その余りの出来なさにびっくりして椅子から転げ落ちてしまいそうになりました(うそ)。なのに私の1000倍上手に話すことができるし、軽い冗談も言うことができる。私は「ウィー」と「ノン」ぐらいしか言えない。。。この違いはなんなんだろう?早く話せるようになりたいなあ。訓練あるのみだねえ。 放課後はマダムがアパートの契約書を作ってくださったので、自分にとって不利でないかどうかを仕事を手伝わせて頂ける先に見てもらうことに。ついでにノートPC持っていってCATV回線お借りしてメールの送受信&ネットをさせていただこうとするのですが、いっつも先方のPCからeathrnetケーブルひっこ抜いて、自分のPCに突っ込んで、さんざんネットを楽しんでからまた引っこ抜いたケーブルを元に戻す、という行為がなんだか申し訳なくなってきたので、自分でeathrnetケーブル買うことにしました。こうすればPC本体からケーブルを抜く必要がありませんので幾分かは厚かましさ度ダウンかと。しかし3mのケーブルが98フラン(1500円)!高い!日本の4〜5倍の値段ではないでしょうか。余りの高さに、同名異種のもんかと思ってしまいました。こりゃフランスコンピュータ普及せんわ。 |